美肌と抗糖化コラム

美肌と抗糖化コラム

1.美肌の大敵、糖化とは?

●糖化により肌の弾力性が低下し、ハリやつやを失い、黒ずんだ印象を招く
美しいハリのある肌を保ちたい人にとって、糖化はもっとも避けるべき生体反応です。
これまで肌の老化に関しては「抗酸化ケア」が大切であるといわれてきましたが、糖化についても同様のケアが必要なことがわかってきました。
糖化で肌が衰えるとは、どういう状態なのでしょうか?それは糖尿病にかかった人の肌の変化を見ればすぐにわかります。糖尿病が進行すればするほど、肌はハリを失い、たるみ、黒ずんだ印象へと変化していきます。医師であれば、その肌の状態を見るだけで、「糖尿病がかなり進行している」ということが判断できるほどです。
糖化は、肌のハリを保っているコラーゲン繊維の構造を破壊する生体反応です。糖化によって、肌は正常の弾力性を失い、ハリやつやのない状態に変色してしまいます。

また、糖化によって生じる老廃物が皮膚の細胞に溜まり、くすみや黒ずみの原因となることで、肌の透明感が失われてしまいます。
これまで単に「老廃物」といわれてきたものの中に、糖化によって生成されたものが非常に多いということがわかってきたのです。
糖化は「体がコゲる反応」だといわれますが、肌についても同様のことがいえるのです。つまり、糖化によって肌のたんぱく質や脂肪がコゲたような状態になる。コラーゲンたんぱくやケラスチンファイバーなどのたんぱく質が破壊され、「コゲる」と弾力性が失われるのです。

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●体の内から、外から行う抗糖化ケアで美肌づくり
美肌のために老廃物を排出する、いわゆるデトックスは女性の間でブームになっています。デトックスの方法として「便秘を解消する」があります。便秘は腸内に便が滞留することで、悪玉菌が増えて毒素を生産しています。その毒素は、腸管の壁を通して血液に逆流し、全身に回ってしまうのです。それが皮膚にも沈着することで、にきびや吹き出物などの原因となるのです。
そこで、さらなる老廃物を産出する糖化が加わると、老廃物は相乗効果で増えてしまい、にきび、吹き出物、くすみなどさまざまな肌トラブルに発展してしまいます。

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糖化によって失うもの、それは肌のハリ、つや、輝くような透明感。これらを維持するためにデトックスをしたり、紫外線ケアや保湿ケアに精を出したりしても、内側から糖化によってコラーゲン組織が破壊されてしまうのであれば、焼け石に水です。
もちろん、酸化を防止することは大切ですが、それだけでは肌の若々しさは保てません。
これまで皮膚の老化は、酸化の影響が七割はあるといわれてきましたが、酸化と糖化を合わせて八割以上の影響があると思います。その内訳は定かではありませんが、これまで抗酸化ケアが重要だといわれてきたのと同じだけ、”抗糖化ケア”が必要だということです。

2.抗糖化ケアで美肌づくり

前回、肌の若々しさは保つためには”抗糖化ケア”が必要だと言いました。では”抗糖化ケア”とはどのようなことなのでしょうか?これは何も難しいことではありません。血糖値を急激に上げない生活習慣のことです。現代の食生活の問題点は、血糖を急激に上げる食材や食べ方が多いことです。

では、急激に血糖値を上げない食生活とはどのようなものでしょうか。
空腹時の甘いジュースやお菓子はもってのほか。精製された小麦粉を使ったパンなどを食べても血糖値はすぐに上がってしまいます。
精製された小麦粉のパンよりも、胚芽小麦やライ麦で作られたパン、白米よりも玄米を選ぶことで、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。昔は精製されていなかった食品が多かったのです。今は急激に血糖値を上げる食品であふれてしまいました。精製されていない食品をゆっくり良く噛んで食べていれば、血糖値の上昇もちょうどよく上がるようなしくみになっているのです。
そうした食品の“糖化リスク”を調べるには、GI(グリセミックインデックス)値を利用するとよいでしょう。
GI値はブドウ糖100gを摂取した時の血糖上昇を100%として、同カロリーの炭水化物あるいは他の食品を摂取したときの血糖の上昇比を示す数値です。同じエネルギーでもGI値を比較して、低い方を選ぶことが糖化を防ぐポイントです。

Glycemic index(グリセミック指数)

GI値 食品名(例)
100% グルコース(ブドウ糖)
80-90% コーンフレーク、人参、マッシュポテト、蜂蜜
70-79% あわ、白米、ポテト
60-69% 白パン、玄米、小麦、クラッカー、バナナ、干しぶどう
50-59% そば、スパゲティ(精製したもの)、スイートコーン、クッキー、ポテトチップス
40-49% スパゲティ、オートミール、さつまいも、オレンジ
30-39% りんご、アイスクリーム、牛乳、ヨーグルト
20-29% いんげん豆、そら豆
10-19% 大豆、ピーナッツ

GI値とは、食後に血糖値を上昇させる程度による炭水化物のランキングのことで、
0から100までの目盛りで示される

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糖化を避けるためには、何を食べるかもそうですが、食べる順番も大切です。血糖値が上がりやすい食品を後に回すのです。
とんかつ定食を例にしてみましょう。とんかつ定食が出てきたら、まずはキャベツを食べましょう。その際、ゆっくりと良く噛んでキャベツのもつほのかな甘みを楽しんでください。最近はキャベツのおかわりができるお店もありますので、可能ならおかわりして食べて下さい。その後はおもむろにメインのお肉を味わって、最後にご飯をおみそ汁とともにいただきます。これが急激に血糖値を上げないコツです。できれば懐石料理やフランス料理のコースのように、1品ずつゆっくりといただくのが理想ですが、ご飯とおかずを交互に食べなくては気が済まない人は、まずは野菜類やGI値の低いものから食べることを心がけてください。それだけでも長期的に考えれば随分違ってきます。
このように同じメニューを食べる場合でも、食べる順番を心がけるだけで、糖化を防いでアンチエイジングにつながることをお忘れなく。
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●糖化を避ける生活習慣とは
① 適正なカロリー摂取を心掛ける
食べすぎは血糖、中性脂肪、LDLコレステロールの血中濃度を高めてしまうため、糖化を促進してしまいます。
② 栄養バランスを考えた食事を摂る
炭水化物の取りすぎや蛋白不足を避ける。
③ よく噛む・ゆっくり食べる・食べる順番を考える
(食物繊維)野菜・海草、(タンパク)肉・魚・卵、(炭水化物)ご飯・麺・パンの順に食べるとよい。これにより急激な血糖上昇による糖化の促進が避けられます。
④ 異性化糖(果糖ブドウ糖液糖など)を含む菓子類・飲料を避ける
果糖はブドウ糖の約10~15倍糖化反応を起こしやすい。果糖というとフルーツが思い浮かびますが、果実には果糖、ブドウ糖、蔗糖(普通の砂糖と同じ)がバランス良く含まれています。またフルーツは線維・ペクチンを含み、血糖上昇が緩徐なので問題が少なく、デザートには菓子よりフルーツが推奨されます。果糖ブドウ糖液糖は芋やとうもろこしから工業生産される糖で値段が安いのですが、果糖を多く含んでおり、これらを含む飲料、菓子、調味料はできるだけ避けた方が良いでしょう。
⑤ アルコールはほどほどに
アルコールは血糖を直接的には上げませんが、代謝されてアルデヒドになるため、糖化反応は起こります。飲みすぎは避けましょう。
⑥ 睡眠は6時間以上とるようにして、タバコはやめる
私たちの研究室でまとめたデータで、睡眠が6時間以内、アルコールの摂りすぎ、喫煙者は糖化リスクが高いことがわかっています。
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以上が糖化を避けるための生活習慣のまとめです。美肌づくりのためにも、皆さんの現在の生活習慣と是非照らし合わせてみてください。