骨はカルシウムやリンを主とするミネラル成分とコラーゲンを主とする基質成分
からできており、鉄筋コンクリート建造物に例えられます。
鉄筋に相当するのがコラーゲン分子で、コンクリートに相当するのはミネラ
ル成分です。コラーゲン分子は隣り合うコラーゲン分子間に、橋渡し構造が形成
され、組織全体として強度を増していきますが、この橋渡し構造は「コラーゲン
架橋」と呼ばれています。
コラーゲン架橋の機能は善玉架橋と悪玉架橋があり、酵素反応を介して遺伝的に
規定された部位に秩序をもって形成される「善玉の生理的架橋」と、酵素反応を
介さずに糖化や酸化などによって、コラーゲン分子間を無秩序に架橋する「悪玉
の非生理的架橋(AGEs架橋)」が存在します。
善玉の生理的架橋は骨強度を高めるのに対して、悪玉の非生理的架橋であるペン
トシジンの増加は骨強度を低下させることがわかっています。
(119 CLINICIAN ’06 NO.554)
人の骨は生涯を通して、古くなった骨を壊して吸収(骨吸収)して、その場所に
新しい骨を作る(骨形成)ことで、血清中のカルシウムの値を調節すると共に骨
の強度も保っています。これを骨代謝と呼びます。また、骨吸収は破骨細胞が、
骨形成は骨芽細胞がそれぞれ担っており、健常人の骨代謝ではこの骨吸収と骨形
成のバランスがとれています。
しかし、女性が閉経になり、女性ホルモンが減少すると骨吸収が亢進するために
この骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回るために骨密度が
減少します。この状態が長期間持続すると骨粗鬆症になります。