「糖化は老化」
糖化が肌と体の老化を早める

体にとって必要不可欠なエネルギー源である「糖」(糖類、炭水化物)も、必要以上の摂りすぎには要注意です。余った糖が体内のたんぱく質とくっつく「糖化」が繰り返し起こると、AGEs(糖化最終生成物)という老化物質が作られます。AGEsは肌や骨などの老化を早めたり、病気の原因になったりします。それでは具体的にどんな影響があるのか? 代表的な例を挙げてみましょう。

【AGEsによる体への影響】

年齢が5~10歳アップ

肌のハリや弾力の元であるコラーゲンですが、糖化が起こると硬くなります。すると、しなやかさがなくなってハリ・弾力が低下するので、頬やフェイスラインがたるんだり、ほうれい線やマリオネットライン(口角からあごへの溝)が深くなります。またたんぱく質が糖化すると褐色になるので、肌色が黄色くくすんで見えます。

粗しょう症のおそれも

骨は約30%がコラーゲンでできています。糖化によってこのコラーゲンが硬くなると、肌と同様に弾力やしなやかさを失い、もろくなります。例えて言えば、チョークのようなもの。一見したところではわかりませんが中身はスカスカになっているため、ちょっとした刺激で折れてしまうことがあります。

血管
脳梗塞や心筋梗塞に至る可能性も

血管は外側から「外膜」「中膜」「内膜」の3層でできています。血管の細胞が糖化によって傷つけられたり、糖化によって作られたAGEsが血管の壁に溜まると、血管内膜にアテローム(粥状硬化巣)というものができます。これを「アテローム性動脈硬化症」といいます。アテロームが長い時間をかけて大きく成長すると、次第に血管の内腔が狭くなって血液が流れにくくなることがあります。また内膜が薄くなるため、突然破れて血栓(血液の固まり)を作り、血管を詰まらせることもあります。これが、脳梗塞や心筋梗塞なのです。

中心部がゆがんで見えるように

カメラでいえばフィルムにあたる網膜の中心部を「黄斑」といい、ここは網膜の他の部分に比べてとても良く見えるのです。この黄斑に糖化されたたんぱく質が沈着するのを「加齢黄斑変性」といい、欧米では成人の失明原因第1位の病気です。日本でも食生活の欧米化などにより近年は増加傾向にあり、失明原因第4位に挙げられています。加齢黄斑変性になると、周りは正しく見えているのに中心部だけがゆがんで見えるようになります。さらに症状が進行すると、真ん中が黒いもやのようなものに覆われて見えなくなり、視力が著しく低下します。

血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維を最初に。次に肉・魚・卵、最後に主食を摂りましょう。また白米よりも玄米の方が血糖値の上昇が緩やかなのでおすすめです。

ルイボスやドクダミ、茶葉などには抗糖化作用があります。健康茶などに使われているので、毎日の生活に気軽に取り入れることができます。

早く食べると体が糖を早く吸収するため、血糖値が急激に上昇します。

食事の30分〜1時間後に軽いウォーキングや家事仕事をすると食後の血糖値が下がりやすくなります。食後の高血糖を避ければ糖化を防げます。

緑茶、紅茶、プーアール茶全てに抗糖化作用がある。カテキンによる抗酸化作用も。

上品な甘さがあり、お茶や飴などに用いられる。ポリフェノールによる抗酸化作用もある。

古くから薬草として民間で知られる。体内の老廃物を排出するデトックス効果も。

「不老長寿の茶」として古来から知られる。ストレスを緩和し、興奮を鎮める効果も。

カリウムやマグネシウムなどミネラルが豊富に含まれる。肌荒れや便秘にも○

「糖化」を制すは「老化」を制す

老化物質を作り出す「糖化」

人は誰しも老いるもの。けれど年齢相応に年を取る「正常老化」と、病気など他の理由があって老化が進む「病的老化」があります。老化を早める原因はいくつかあります(下図参照)が、最近注目されているのが「糖化」です。糖化とは、炭水化物や甘いものを必要以上に摂った時、余った糖が体内のたんぱく質と結びつくこと。これが繰り返し起こるとAGEs(糖化最終生成物)という老化物質が作られます。一度できたAGEsは分解されず、どんどん溜まる一方。年齢を重ねると新陳代謝が低下するため、糖の代謝が落ち、さらに溜まりやすくなります。またこの「糖化」は生活習慣で加速することがあります。人間の体の約15%はたんぱく質で、内臓、肌、骨、血管、爪などあらゆるパーツを作っています。糖化が起きる(余った糖がこれらのたんぱく質とくっつく)ことは、肌や内臓、骨、血管などの老化が早まるということ。肌のたるみや黄ぐすみ、骨粗しょう症、動脈硬化などの原因になります。

「糖化」を制すは「老化」を制す

上の5つは、老化を促進させる要因です。特に、体の中で起こる「糖化」「酸化」「炎症アレルギー」への対策は重要。また、現代社会では誰もが抱える「心身ストレス」「生活習慣の乱れ」は、体への直接的な影響だけでなく、「糖化」「酸化」「炎症アレルギー」を促進させるきっかけにもなると言われています。

そこで、糖化から体を守る「抗糖化習慣」をご提案します。空腹時にいきなり糖や炭水化物を摂ると、血糖値が急激に上がります。この「急激」が糖化の大きな要因。ですからまず食物繊維、次にたんぱく質を食べて血糖値の上昇を穏やかにしておき、最後に主食の炭水化物の順で摂りましょう。時間がなければ、一緒に野菜を食べるだけでも効果があります。また、食後30分〜1時間後に軽い運動をすると、血糖値の急上昇を抑え、低下を早められます。食後の通勤や移動は階段を使って「運動」代わりにすると○。逆に、やむを得ず炭水化物だけの食事の後は、意識して動きましょう。

もっと積極的な抗糖化方法もあります。それは抗糖化作用のある食品を摂って、AGEsができないようにしたり、できてしまったAGEsを分解し、体の外への排出を促すこと。左に挙げたのは抗糖化食品の一例ですが、中でも健康茶は、アミノグアニジンと言われる抗糖化薬(日本では未承認)よりもおおむね抗糖化作用が高いことがわかっています。お茶なら、お食事時やティータイムに、と毎日の生活に無理なく取り入れることができますよね。食べる順番を工夫してこれ以上の糖化を抑えること、そして抗糖化食品で老化物質の生成を抑えたり、既に作られた老化物質の代謝を高めることが、若々しく健康でいる鍵なのです。

右に挙げた生活習慣は、体内のたんぱく質を変性させたりAGEsを蓄積させて、体の機能を低下させたり、体内に炎症を起こすことがあります。その結果、糖化を早めてしまうのです。思い当たることがあったら、今日から気をつけてはいかがでしょう。

同志社大学アンチエイジングリサーチセンター

《研究テーマ》
■身体における老化度の診断と評価方法の確立
■加齢に伴う筋肉量の退行性変化
■ヒトにおける老化促進因子の研究(酸化ストレス・糖化ストレス・心身ストレス・生活習慣など)
■ヒトおよび実験動物の酸化ストレスや糖化ストレスに関する基礎的研究
■地域医療および労働衛生におけるエイジングケアのエビデンスの構築
■糖化ストレスマーカー測定方法の研究
■糖化ストレス制御物質の研究
■糖化ストレス生成物の分解・排泄経路の研究
【研究室の詳細はHPでご確認ください】
http://www.yonei-labo.com