体を構成しているタンパク質と必要不可欠なエネルギー源である「糖」(糖類、炭水化物)が反応してしまうのが糖化です。糖化により、体のタンパク質が、茶色くなったり、硬くもろくなったりして、タンパク質の機能自体が変化してしまいます。そして、この糖化反応が繰り返されるうちに、AGES(エイジーイーズ/糖化最終生成物)が蓄積し、これが肌や骨、血管などの老化を早め、ひいては病気や疾患の原因となるのです。
■筋年齢:握力、脂肪筋、除脂肪筋量、ウェストヒップ比
■血管年齢:加速度脈派、PWV
■神経年齢:高次脳機能検査(ウィスコンシン大カードソーティングテスト)
■ホルモン年齢:IGF-I、DHEA-s
■骨年齢:骨密度(DEXA)
■免疫ストレス:NK細胞活性、DHEA-s
■酸化ストレス:8-OHdG、イソブラスタン、LPO(過酸化脂質)
■心身ストレス:コルチゾル、DHEA-s
■糖化ストレス:T3、T4、インスリン、アディポネクチン AGEs
■生活習慣:睡眠、酒、タバコ
米井,医学のあゆみ,22(5),415-420,2007を改変
糖化ストレスとは、還元糖やアルデヒド負荷による生体へストレスと、その後の反応を総合的にとらえた概念である。狭義の糖化は、還元糖と蛋白の非酵素的な反応によりシッフ塩基の形成、糖化蛋白、様々な中間体形成を経てAGEsの生成に至る反応系である。この反応は組織蛋白を変性させて機能低下を起こす原因になる。一方、生体内においては組織や細胞内に過剰なブドウ糖が存在すると、TCA回路の反応不良を惹起してフマル酸の増加が生じる。フマル酸は蛋白を構成するアミノ酸であるシステインと反応してS-(2-succinyl)cysteine(2SC)を形成する。この反応はサクニシル化と呼ばれ、蛋白のサクシニル化により機能性が低下あるいは喪失することで生体内に障害が惹起される。さらに組織内に蓄積したAGEsは、AGEs受容体であるRAGE(Receptor for AGEs)と結合して細胞シグナルを活性化し、炎症性サイトカイン生成を惹起する。RAGEは細胞内シグナル伝達から細胞応答を生じAGE受容体として病態形成に働いている。また、AGEsのうちCML、グリセルアルデヒド(glyceraldehyde)およびグリコールアルデヒド(glycolaldehyde)修飾物質はRAGE結合性が高いとされている。糖化ストレスは蛋白の機能障害、蛋白の変性(翻訳後修飾)、老廃物の蓄積、TCAサイクルの障害、細胞内シグナルの活性化や組織障害の惹起、加齢に伴う退行性変化などを促進する要因になっている。また紫外線や酸化ストレスは糖化ストレスを加速する要因として位置づけられる。
AGEsの1種。リジン残基とアルギニン残基をペントースが架橋したイミダゾピリジニウム環を有する。ペントース以外にグルコース、フルクトース、アスコルビン酸も低率だが前駆体となる。これまでの研究から糖尿病、動脈硬化、腎不全、アルツハイマー病、リウマチ様関節炎など背景の異なる疾患でペントシジンの蓄積が示唆されており、発症機序、進展機序の解析に役立つマーカーとして有望視されている。また、近年骨粗しょう症における骨質のマーカーとしても注目されている他、皮膚コラーゲン中にも存在し加齢と共に増加することがわかっている。
(カルボキシメチルリジン)
AGEsの1種。アマドリ化合物の酸化的開裂によって生成する。また、脂質の過酸化などから生じるグリオキサール、あるいは次亜塩素酸とセリンから生じるグリコールアルデヒドとリジン残基の反応により生成する。CML化したコラーゲンをヒト皮膚の線維芽細胞に添加すると、アポトーシス(細胞死)が誘導されることが報告されており、また皮膚組織の中では、比較的代謝回転の速い表皮層にも存在することがわかっている。