2010年に同志社大学糖化ストレス研究センターと、健康茶71種類の抗糖化作用の探索がスタートしました。まずは、80度の熱水で3分間あるいは1時間抽出された抽出液を用いて蛍光性AGEsに対する糖化反応抑制作用の評価を行い、その結果、糖化反応阻害剤のアミノグアニジン(日本では未承認)と比べて20倍以上強い作用を持つ健康茶が9種類見つかりました。
次に、この9種類について糖化反応中間体である3DG(3-デオキシグルコソン)およびAGEsであるペントシジン、CML(カルボキシメチルリジン)を抑制するのか、その作用を評価。さらにヒトの体内で糖化を防ぐためには、より多くの成分が、同時に、かつ多経路な糖化反応を阻害する必要があると考え、9種類の様々な掛け合わせを検討しました。特に、アミノグアニジン(糖化反応阻害薬/日本では未承認)が生成阻害できないAGEsであるペントシジンの抑制は大きなテーマでした。何度も繰り返し検討を重ねた結果、抗糖化力の強さだけが組み合わせの基準ではないことがわかり、下記の4種の和漢素材を、ある特定のバランスで組み合わせることで、多経路な糖化反応に対応する抗糖化ハーブエキスとして最適な機能性を実現しました。
「UNAHATAKEハーブエキス®」の4種類の素材は、単に糖化反応抑制作用の強さの順番で選ばれた訳ではありません。それ以外にも選ばれた理由があります。
① 肌に有用な作用成分が茶葉に含まれるものを選択すること。つまり、肌の老化要因は糖化だけではないので、茶葉に含まれている肌に有用な作用成分が複合的に作用する相乗効果が期待できるからです。
② 茶葉植物の分類学的に異なるグループに属すること。つまり、植物学的に近い種類の植物には、同じような成分が含まれます。抗糖化作用の作用物質として、ポリフェノール類があります。ポリフェノール物質の分布は、植物の進化や分類との関係が深く、科学的植物分類学の指標の1つです。分類学的に同じ科または連に属する植物には、類似構造のポリフェノール物質が含まれることが考えられます。このため、一次選定した9種類の茶葉の中から、植物分類学的な関係が遠いものを選択しました。
植物分類学的な関係が遠いものを選ぶことで、出来る限り多種多様な成分を含ませることができます。この目的は、生体内におけるAGEs生成の糖化反応の経路は、下記の図のように複雑かつ多経路なため、試験管レベルの実験で一つのAGEsの生成を抑制したとしても、結果、生体内のAGEs生成を抑制することは困難であると考えたからです。つまり、ヒトの体内で糖化を防ぐためには、複数のより多くの成分が同時に多経路な糖化反応を阻害する必要があると考えられます。
原料として安定確保ができ、かつ日本人になじみが深く、安全性が担保できること。特にお茶は昔から日本人が飲んできた歴史があります。ただ、緑茶などチャノキ由来のお茶にはカフェインがあり、体質によって飲用制限があることから、健康茶(野草茶、ハーブティー)に着目しました。健康茶は、さまざまな植物素材(花、果実、種子など)が利用されており、民間薬(代替医療)としても利用されています。カフェインを含まないため飲用制限が少ないことも選択した重要なポイントです。また、急性毒性試験、変異原性試験(Ames試験)、残留農薬試験などの食品としての安全性試験を実施。さらに健常男性による推奨摂取量の5倍にあたる1,500mg/日の4週間連続摂取試験により安全性を確認しています。
結果として、日本人には食経験が豊富かつなじみが深く、植物分類学的に異なる植物種である健康茶4種類「テンヨウケンコウシ(甜茶)」「柿の葉」「クマザサ」「バナバ」が、うなはたけ®ハーブエキスの素材として選ばれました。